まだ浸み込ませてるの?化粧水はどこまで浸透させれば良いのか
化粧水はどこまで浸み込ませたら良いの?
はい、マリリンです。「化粧品の浸透を良くするには、どうしたら良いですか?」「浸透はどこまでするといいの?」こんな質問がよくきています。
肌が乾燥するから! 肌を白くしたいから! 水分や油分、肌のうるおい成分や美白成分である物質を補ったら、乾燥は止まり、シミは消え、美しい肌になるという考えのもとで、スキンケアをしているのだと思います。
今回の記事では、それについてお話しますので、より良いスキンケアライフを送るための参考にして頂ければ、幸いです。
バリアゾーンって、どの部分?
健康肌や美肌の基本の1つ、<バリアゾーンを緩めたり、破壊してはいけない>ということを、私はいつも言っています。このバリアゾーンを緩めたり、壊すことで、化粧品成分は浸透していきます。
では、そのバリアゾーンはどの部分でしょう?
まず、下の図を見れば、わかりますが、肌の奥~表面にかけて、大きく区分けすると、皮下組織、真皮、表皮の3つになります。その3つのうちの1番体の外側にある表皮は底~表面まで基底層、有棘層、顆粒層、角質層などから構成されています。
表皮はいずれ、古くなって死んでいく細胞なので、基底細胞以外は、栄養・神経もありません。
基底層には、表皮下血管網が直結していて、栄養を取り込んでいます。基底細胞が栄養を取り込んだら、細胞をどんどん分裂させて上へ上へと押し上げていきます。
体の外側へ(外界へ向かって)上がっていくごとに、だんだんに細胞は死へ向かい、顆粒層あたりから、死細胞となります。
この死細胞の壁を築いてバリアゾーンとして、体を守っています。この下の図を見てわかる通り、皮脂膜と角質層、顆粒層の3つからバリアゾーンは成り立っています。
角質の厚さは、ラップ1枚程度だと言われています。
このバリアゾーンを緩めたり、壊したりすると、時間をかけて、じわじわ奥へ進み、基底細胞を変性させてしまうこともあります。要するに、表皮を壊してしまうと、その奥の真皮が弱って、早く老化してしまいます。
本当に角質層までしか浸透しないの?
日本の薬事法では肌の奥深くまで浸透させるのは違法となります。なぜ、違法なのか?それ以上の浸透は人体に悪影響があるから違法なのではないでしょうか?
なので、「角質層までしか浸透しません」という但し書きをよく見かけます。ですが、角質層までしか浸透しないなんて、そんな都合よくいくものでしょうか?
よく、「化粧品に入っている程度の合成界面活性剤がバリアゾーンを壊すことはないですよ」というお話や声を耳にします。
確かに合成界面活性剤が1種類、それもほんの微量であれば、それを使って美肌になれるかは別として、人によっては、そんなに怖がるものではないのでしょう。また、
<化粧品に入っている合成界面活性剤がバリアゾーンを壊すことはない>というのには、前提があります。男性のように皮脂がたくさん出る肌や、健康な肌の方が使用する ことが前提でのお話です。
なので決して、肌がデリケートだったり、ダメージ肌だったり、皮脂の少ない女性に当てはめてはいけません。
更に、合成界面活性剤が複数種類以上や多量に入っているような化粧品を連用すれば、バリアゾーンは緩んだり、壊れたりする可能性が高いのです。また、使う人の肌の状態やケアの仕方などなどでも、バリアゾーンの状態は悪化します。
要するに、<化粧品に入っている合成界面活性剤がバリアゾーンを壊すことはない>は、
個々の肌の状態の違い、女性の肌のデリケートさや、女性の生理、皮膚の働き、女性のスキンケアの仕方、メイク、頻度などなどが、考慮された場合のお話ではありません。
女性たちを取り巻く美容環境は過酷です。多くの化粧品に合成界面活性剤が含まれ、ほとんどの方が、知らず知らずに使い続けています。
長期間にわたり、少なからずとも影響を受け、時間をかけてじわじわと肌が弱っていきます。元々皮脂が少ない女性は、合成界面活性剤によって肌が弱りやすいのです。
一般的には女性は肌も弱くデリケートで乾燥気味、男性と比較して、皮脂が少ないほうです。
そんな肌で、化粧品を1点のみならず、洗顔から化粧水、美容液、乳液、クリームやふき取り化粧水、アイクリーム、パックやマスク等に至るまで、一体どれだけの化粧品を使い、それも毎日朝晩2回使っていますよね。
しかも 乱暴なケアをそれと知らずに、やっている方は多数です。
こんな状況で、肌が健康になりようがないのです。バリアゾーンが緩んでしまう状況を作り上げてしまっているのです。
肌が強かった脂性肌の方でさえ、若い時にオイルクレンジングのさっぱりさが気に入って、長年愛用したばかりに、50歳の今、ぱっさぱさな肌になって、シミ、しわ、たるみがひどくなってから、私の所にいらした生徒さんも少なくありません。
確かに男性のように皮脂が多くて、強い健康肌なら、化粧品によるダメージは受けにくいです。ですが、そのような脂性肌の方であっても、長い時間をかけて、超が付くほどの乾燥肌になってしまっているのです。
更に長期間、化粧品を浸透させていたことにより、バリアゾーンが壊れて、化粧品成分などの異物は肌の奥へ奥へと浸み込み、アレルギーを起こしてかぶれれば、まだ救われますが、
アレルギーが出ない場合は、基底細胞が疲弊、または破壊されて、シミになります。こうなるともう、娘細胞を生むことが出来なくなります。
基底細胞が壊れたら、シミは真皮に落ち込んでしまい、消えることはありません。栄養も薬も無意味です。
アレルギー反応を起こすと弱いというネガティブな捉え方をされますが、アレルギーを起こすからそれ以上、酷くならずに済むのですね。
・・・ということで、角質だけにしか浸透しないとは、限らないということです。
結局どこまで浸み込ませれば、いいの?
じゃあ、どこまでだったら浸み込ませてもいいの?と、浸透させたい人からの声が聞こえそうなので、説明すると・・・
角質層には、細胞間脂質が存在しています。下の画像で例えると、レンガは角質細胞で、角質細胞と角質細胞の隙間を埋めて、くっつけているセメントが細胞間脂質です。
このセメントの部分である細胞間脂質を更に拡大してみると、下の図のように、何層も規則正しく重なり合う水分と脂質の層の繰り返しで、層状(ラメラ構造)に構成され、バリア機能を発揮しています。
水の層は、外部からの油性の物質の侵入を遮断し、脂の層は外部からの水性の物質の侵入を許しません。なので、何かを浸透させるとなると、この層を緩めたり、壊したりしないと、浸透できません。
この層状の部分に、水と油を混ざり合わせる合成界面活性剤を常に浸透させていれば、水分と脂質が混ざり合ってしまい、層は壊れていき、外部からの物質が浸透しやすくなることで、肌が乾燥したり、弱ったりします。
肌が乾燥したり弱ったりすると、老化だから仕方ないと思い込む方もいらっしゃるようです。が、弱い合成界面活性剤だろうと、石油系以外だろうと、<雨垂れ石をも穿つ>です。
毎日洗顔でさっぱりさせ過ぎると、この細胞間脂質も洗い流されてしまいます。(層が緩んだり、壊れるのは、メイク落としや洗顔、化粧品を浸透させるときに起こりやすい。)
こうして、化粧品成分の通り道を作るためにバリア機能を弱めて、中に有効成分だと称して保湿成分などの物質を補ったとしても、入口は出口でもあるので、蒸発していきます。なので、保湿をしても何時間ももたずに、肌が乾くのは当然と言えます。
これでもっと保湿力のあるものを!と探し求めて、保湿をしたとしても、どんどんバリアゾーンは壊れていき、保湿を数時間ごとに補わないとならないほど保湿剤に溺れ、保湿剤中毒となり、禁断症状の出る肌となります。
「もっと保湿力のある化粧品を教えてください。」や「もっと潤う化粧品が欲しい!」「乾燥するけど、脂っぽいです!」などは、この典型です。(この方たちも元は健康な肌で、最初の数年は何を使っても平気だったはずです。)
また、化粧品の通り道を作っても、浸透するのは化粧水や美容液だけでなく、メイクや汚れ、細菌なども入っていくので、自分にとって都合の良いものだけが入っていくわけではありません。
なので、肌に何かを浸透させるためにバリアゾーンを壊すようなことをしては、肌の美しさどころか、健康さえも損なわれていくのです。だから、浸透させようと思わないことです。
浸透させなくても、ちゃんと肌に合った化粧品で、肌に合った正しいスキンケアをしていれば、肌トラブルの大半は解決できるものです。色々あれこれやらなくても実はシンプルだということです。
私や私の生徒さんたちに乾燥肌はいないし、潤っているので、過剰に保湿することもありません。何が良くて何が悪いかがちゃんとわかっているので、余計なものに手出しをして失敗することがないのです。
その証拠に保湿剤中毒を克服して、保湿地獄から抜け出した方の肌は健康になり、ツヤとハリも戻っています。健康な肌は赤ちゃんのように、勢いよく水を弾くので、何も浸透していきません。
だから、どんどんキレイな肌になってきていますし、50代の方でもほうれい線やマリオネットラインもリカバリーできて、若くなっていきます。
乾燥は肌を早く老化させるので、浸透はダメですよ。何も浸透させていない、赤ちゃんの水弾きの良い肌が健康で美しい肌のお手本です。
まとめ
この説明でお分かりいただけたでしょうか?
<化粧品に入っている合成界面活性剤がバリアゾーンを壊すことはない>は、強い肌、健康な肌が前提のお話。
私の申し上げている<合成界面活性剤が肌のバリアゾーンを緩めたり壊したりする可能性がある>は、今現在の女性たちを取り巻く美容環境や、
女性の肌、女性の生理、女性の心理、女性のスキンケアやメイクにおける考え方、やり方、頻度など、様々なことを考慮した上のお話です。
「事件は会議室で起きているんじゃない!女性たちの肌で起きているんだ!」
ということ。
そして、化粧品を浸み込ませて、短期で結果を得られても、短期で作った肌は短期で終わります。やがて、1つの肌トラブルを解消するために、次の肌トラブルを引き起こし、それを繰り返して肌トラブルの数は増えていきます。
肌は乾燥してどんどん弱って、老化して、ほうれい線やマリオネットライン、たるみの原因にもなっていきます。決して水分を肌の奥へと浸み込ませたりしないでください。赤ちゃんのような水弾きの良い肌が健康で美しい肌ですよ。
実際には・・・現実は、こういうことなので、自分の肌は自分で守っていきましょう。